ゼロ年代の想像力 宇野常寛

 

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)

 

 

'14ベスト。ここ30年くらいを扱う批評として、ドラマ・映画・漫画・アニメ等を通じ、前向きな結論を導いてくれた。

 

特に評価したいのは、これらコンテンツと社会とのつながりだ。重大な社会現象・大きな事件とコンテンツが互いに前提・後続への布石として響きあう点だ。

社会現象の影響によりコンテンツが発生するのは良く言われる話だが、今度はコンテンツが社会へ影響を与える、という考え方には強く共感できる。

(私見としては、しかもその与え方は前者よりももっと郊外的でバリエーションに富んだものだ、と考えています)

 

こういう文章を読むと、途端に教養※1のようなものを崇拝する気分になってしまうけれど、いかんせん、私(達)はあまりに歴史を知らなすぎると思う。

例えば阪神大震災は、オウムの事件は、9.11は西暦何年の出来事だったか、その時あなたは何歳だったか、すぐに出てくるだろうか。私には出てこない(私だけかもしれない)。

宇野氏の示す「想像力」へのコミットは、おそらくはそういったものを強く意識しなければ出てこないものだろと思う。

それが生きる上で必要ではないけれど、私たちの周りに存在するコンテンツがいかなるバックグランドを持っているか、あるいはあなたとどのように繋がりあえるか、つまり系譜学的な考察をするのに大きく貢献してくれることは間違いないだろう。

 

※1 教養という語の正確な定義は知りません。イメージで使っています。なまぐさでごめんね。